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ABOUT LST

LST計画は,ミリ波・サブミリ波帯において広い視野・広い波長域を一挙に観測することができる 50 m 級の大口径望遠鏡を南米チリに建設し,アルマとは相補的なディスカバリー・スペースを開拓する計画です.

BRIEF HISTORY

​沿革

LST計画は、日本のミリ波サブミリ波天文学の発展と成果を踏まえ立案・提唱されました。明確な科学目標を掲げ、それを実現するための技術を自ら研究開発するスタイルは、我が国の電波天文の黎明期に起源を持ち、今の新たな世代に受け継がれてきた我が国のレガシーです。その意味において、LSTはそのレガシーを引き継ぐ、かつ私たちのオリジナリティを凝縮した計画と言えるでしょう。

 

1965年、日本学術会議・天文学研究連絡委員会は、「45m電波望遠鏡を中心とする宇宙電波観測所の建設検討」を開始しました。1982年3月1日、野辺山45m電波望遠鏡は共同利用を開始します。それ以降、45m電波望遠鏡とミリ波干渉計は、宇宙電波分光という新たな分野を切り拓き、星間分子の発見、原始星分子双極流の発見、水メーザーによる超大質量ブラックホールの発見、赤方偏移した遠方クェーサーの分子ガスの検出、原始惑星系円盤の撮像など、数々の重要な発見をもたらしました。これらは名古屋大学4m電波望遠鏡、なんてん電波望遠鏡や東京大学60cm電波望遠鏡(あまのがわ望遠鏡)などで推進された無バイアスサーベイ研究と呼応し、多彩な物理的性質を示す星間物質に対する網羅的研究の潮流を生みだす契機となりました。20世紀末には富士山山頂サブミリ波望遠鏡による中性炭素輝線といった短い波長の観測天文学を開拓するに至ります。さらに、アタカマサブミリ波望遠鏡実験(ASTE)では分子分光観測のみならず、我が国初となる本格的なダスト連続波によるサブミリ波銀河サーベイを2000年代に実現させました。こうした多岐にわたる研究がアタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計(アルマ望遠鏡;ALMA)による研究へ連綿と受け継がれ、ALMAに代表される数々の国際共同天文台において日本発の研究の存在感を際立ったものにしています。

 

我が国の観測天文学者ひとりひとりには、無意識のうちに継承してきたある種の「遺伝子」があるのではないでしょうか。それは、網羅的観測という視点です。その発露は、おそらく東京大学木曽観測所のシュミットカメラに始まり、すばる望遠鏡の主焦点装置群によってまさに拓かれている広視野・高時間分解能サイエンスの流れに象徴されるでしょう。光赤外コミュニティは地上からの観測ではアクセスが困難な波長30 μmより長波長の観測を希求し、赤外線天文衛星あかりによる全天サーベイに結実させました。波長1.7 ~ 180 μmにおける「あかり」の全天サーベイは、赤外線天文衛星IRAS以来の全天観測であり、天文学史に残る金字塔と言えます。電波天文学分野では、名古屋大学4m電波望遠鏡や東京大学60cm電波望遠鏡で、1990年代になされた無バイアスサーベイ観測から、野辺山45m電波望遠鏡によるレガシー・サーベイが挙げられます。大規模なサンプルに立脚した、特異な個別天体の追究は、さまざまな分野で突破口となる研究を生み出しました。さらに銀河・宇宙論分野のみならず超新星探査、重力波対応天体や太陽系内移動天体などに対する時間領域天文学を創成するなど、いずれも計画当初の構想を超越する発展をもたらし、理論研究との相乗効果で世界を牽引しています。

 

今、サブミリ波観測における広視野観測や広い波長をカバーした観測への期待は、天文学にとどまらず、惑星科学分野や物理学分野からも集まっています。現在、光学・赤外線天文学に軸足を置く研究者がALMAの重要なユーザ層を形成しており、LST計画においても広視野化と波長域拡大を武器に発展してきた光赤外コミュニティと宇宙電波コミュニティが出会う、交差点となることでしょう。さらには、様々な分野のハブとしての役割もLSTに課せられた重要な責務と考えています。

SCIENCE GOALS

科学目標

LSTは、きわめて広大な3次的宇宙体積に対する画期的な探査を可能にするとともに、ミリ波・サブミリ波天文学における時間領域天文学に新たな進歩をもたらします。LSTの最重要な科学的目標のひとつは、低赤方偏移 (近傍宇宙) から高赤方偏移 (遠方宇宙) にいたるまで宇宙の広域的な構造を3次元的に明らかにすること、および宇宙の星形成の歴史を明らかにすることです。そのために、分子や原子のスペクトル線を用いた星形成銀河の広域分光探査やダスト (星間塵) 連続光の多色撮像探査を実施します。

 

さらに、LSTはALMAと非常に相補的な関係にあります。LSTは、広視野のサーベイによって興味のある様々な天体のセンサスを確立することができます。また、LSTは、ALMAによる更なる調査のために、興味をそそる天体を特定することもできます。LSTは、ALMAや、すばる望遠鏡のHSC/PFS、TAO、Rubin (LSST)、Euclid宇宙望遠鏡、Roman宇宙望遠鏡など、光学から赤外線領域のサーベイを目的とした既存および近未来のミッションとの相乗効果を活用することで、天文学や宇宙物理学の幅広い研究に貢献することができます。

PARTNERS

参加機関※

大阪府立大学 大妻女子大学 香川大学 鹿児島大学 神奈川大学 北見工業大学 京都産業大学 京都大学 慶應大学 国立天文台 筑波大学 電気通信大学 東京学芸大学 東京大学 東邦大学 徳島大学 名古屋市立大学 名古屋大学 日本工業大学 日本女子大学 日本大学 北海道大学(五十音順)

※参加機関LST構想に積極的に参加する研究者の所属する機関

PROMOTERS

​大型サブミリ波望遠鏡LST推進グループ

河野 孝太郎(代表;東京大学) 石井 峻(国立天文台) 大島 泰(国立天文台) 川邊 良平(国立天文台) 竹腰 達哉(北見工業大学) 谷口 暁星(名古屋大学) 田村 陽一(名古屋大学) 古屋 玲(徳島大学) 阪本 成一(国立天文台)

LST CODE OF CONDUCT

LSTのすべての活動に関する行動規範

LST推進グループでは、ステークホルダーとの円滑なコミュニケーションをねらいとした行動規範を定めています。

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